MG 1/100 / MS-06F-2 BUILD RECORD
缶スプレーから始める。土臭いF2ザク。
基本工作、缶スプレー塗装、チッピング、土汚れ。特殊な改造に頼らず、地上運用機らしい使用感を積み重ねる制作記。
今回は、MG 1/100 MS-06F-2 ザクII F2型を制作します。このF2ザクを作るのは、約15年ぶりの2回目です。
現在はエアブラシを使うことが多くなりましたが、この作品を制作した当時は缶スプレーを中心に基本塗装を行い、ウェザリングで仕上げました。
大きな改造や特殊な道具を使わなくても、ゲート・ヒケ・パーティングラインの処理、サーフェイサー、缶スプレー塗装、スミ入れ、デカール、チッピング、ウェザリングという基本工程を重ねるだけで、ガンプラの雰囲気は大きく変わります。
この記事のテーマ
地上で運用された機体らしい、土臭さのあるF2ザク
F2ザクは、現在の「Hossのガンプラ制作研究所」で紹介している基本工作・塗装・ウェザリングにつながるブログ初期の作例です。エアブラシを持っていない人や、久しぶりにガンプラを作る復帰モデラーにも参考になるよう、現在の視点から整理して紹介します。
今回の制作工程
- 組み立て・表面処理
- サーフェイサー
- 缶スプレーによる基本塗装
- 部分塗装・スミ入れ
- デカール
- ウェザリングの考え方
- スポンジチッピング
- ウェザリングマスター
- つや消しトップコート
- 完成・ギャラリー
01|組み立てと表面処理
まずはパーツをランナーから切り離しながら、ゲート跡やヒケ、パーティングラインを処理します。ニッパーで切り出したあと、必要に応じてヤスリを使って表面を整えます。
このとき重要なのは、単にパーツを組み立てるだけでなく、「このあと塗装する」ことを考えながら組み立てること。塗装後に外せなくなる部分や、合わせ目を消したい部分を確認しながら作業します。
ザク系で時間がかかる動力パイプ
ザク系キットで地味に時間を取られるのが動力パイプです。数が多く、ひとつずつゲート跡やバリを処理するとそれなりの作業量になります。しかし、この段階を雑にすると塗装後にゲート跡やキズが余計に目立ちます。
表面処理の基本は、ガンプラの表面処理|ゲート処理・ヒケ・ヤスリがけで詳しく解説しています。
02|サーフェイサーで表面を確認
表面処理が終わったら、全体にグレーのサーフェイサーを吹きます。サーフェイサーには塗料の食いつきを良くするだけでなく、表面処理で見落としたキズやヒケを確認する役割があります。
成形色では気付かなかったキズが、グレー一色になると急に見えてくることがあります。見つけた部分は必要に応じて再びヤスリで整えます。全身がグレー一色になった状態も、これはこれで妙に格好いい。いわゆる「サフ萌え」と呼ばれる状態です。
このF2ザクを作った頃は缶タイプを中心に使っていましたが、考え方は現在も変わりません。サーフェイサーは塗ることが目的ではなく、次の塗装へ進める状態か確認する工程です。
現在の設定や吹き方は、ガンプラのサーフェイサー|希釈・エア圧・吹き方で検証しています。
03|缶スプレーで基本塗装
今回の基本塗装にはエアブラシではなく缶スプレーを使用しました。外装の明るい部分は、劇中の印象から完全な白ではなく少し暖色寄りになるようキャラクターフレッシュを使用。内部フレームにはMSグレー ジオン系を使っています。
グレーのサーフェイサーの上から明るい色を塗装するときは、一度に発色させようとしないことが重要です。薄く吹く → 乾かす → また薄く吹くを繰り返します。
吹き始めをパーツへ直接当てず、パーツの外から吹き始めて一定速度で通過させるようにすると、塗料が一か所へ溜まりにくくなります。塗装時は十分に換気し、製品表示の安全上の注意を優先してください。
缶スプレーでも塗装は十分楽しめる
缶スプレーには、コンプレッサーや希釈が不要で、後片付けが少ないというメリットがあります。一方、広範囲へ塗料が出るため消費量が多く、複数色を使うと意外とコストがかかります。
手軽さでは缶スプレー、ランニングコストや細かな調整ではエアブラシ。最初からすべて揃える必要はありません。缶スプレーで塗装を経験し、もっと細かく調整したいと思ったときにエアブラシへ進むのもひとつの方法です。
両者の違いは、ガンプラ塗装にエアブラシは必要?|缶スプレーとの違いで比較しています。
04|部分塗装・スミ入れ
基本塗装が終わったら細部を整えます。一部はマスキングしてシルバーで塗り分けました。複雑な形状では通常のマスキングテープだけでなく、液体マスキングが使いやすい場合もあります。
モールド部分にはスミ入れ塗料を使用します。溝へ塗料を流し込み、乾燥後にはみ出した部分を溶剤で拭き取ります。スミ入れをすると外装のモールドがはっきりして、立体感が出てきます。
エナメル系塗料と溶剤の注意
関節やパーツの合わせ目へ多量に流れ込むと、プラスチックがもろくなり破損することがあります。必要以上に付けず、隙間へ流れ込ませないようにします。
05|デカールで情報量を追加
続いてデカールを貼ります。曲面へ貼る場合は、必要に応じてマークソフターなどを使ってなじませます。貼り終えたら一度クリアーで保護します。
この段階でも十分完成と言える状態ですが、今回はここからもう一段階進めて、F2ザクを地上で使われた機体らしい雰囲気にしていきます。
06|ウェザリングは汚れる理由を考える
ここからが、このF2ザクの仕上げで一番重要な工程です。きれいに塗装した機体へ、あえて汚れや傷を加えます。
意識したのは、ただ全身をランダムに汚すことではありません。地上で運用されているなら、足元には土や泥、可動部周辺には汚れ、外装の角には塗装剥がれ、手や武器の周辺には使用感が生まれます。
「なぜここが汚れているのか」を少し考えるだけでも、ウェザリングは自然になります。
07|スポンジを使ったチッピング
塗装が剥がれたような表現にはチッピングを使いました。メラミンスポンジを小さく切り、エナメル塗料を少量付けて、パーツの角を中心に軽く叩くように塗料を乗せます。
重要なのは、一度にたくさん付けないことです。最初は「少し足りないかな」と感じる程度で止め、全体を見ながら少しずつ追加します。スポンジは目立たない場所やテストピースで付き方を確認してから本体へ使うと安全です。
08|ウェザリングマスターで土汚れを追加
続いてウェザリングマスターを使い、足元を中心に土や砂埃のような汚れを加えます。地面に近い部分を強めにし、上へ行くほど控えめにすると自然なグラデーションになります。
チッピングだけでは「傷のある模型」ですが、そこへ土埃の色を加えることで、地上で使われている機体という今回のテーマが見えてきます。
チッピングやウォッシングとの組み合わせは、ガンプラのウェザリングとは?|実例で解説で詳しく紹介しています。
09|つや消しトップコートで仕上げる
ウェザリングの状態を全体で確認し、最後につや消しトップコートを吹いて仕上げます。表面のツヤをそろえることで、デカール、チッピング、土汚れがひとつの仕上がりとしてまとまります。
一度に厚く吹くと白化や垂れの原因になるため、缶スプレー塗装と同じように薄く重ねます。気温・湿度・換気に注意し、製品表示に従って作業します。
10|MG ザクII F2型 完成
完成です。今回は大きな改造を行わず、基本工作と缶スプレー塗装、ウェザリングを中心に仕上げました。
F2型ザクは可動範囲について現在のMGほど自由ではありませんが、立たせたときのプロポーションには独特の格好良さがあります。特別な武装を追加しなくても、ザクらしい兵器感があります。
今回狙った、「地上で運用され、少し使い込まれたF2ザク」という雰囲気も出せたと思います。
完成ギャラリー
このF2ザクから現在の制作へ
このF2ザクは、ブログを始めた頃に制作した作品です。現在はエアブラシや3Dプリンターを使ったり、パーツを自作したりすることもあります。ただ、ガンプラを完成させる基本はそれほど変わっていません。
切る。整える。塗る。仕上げる。
難しいことを全部やらなくても、一体を最後まで完成させれば次にやりたいことが見えてきます。缶スプレーから始めてもいい。塗装せずに組み立てだけでもいい。ウェザリングだけ試してもいい。
このF2ザクは、現在の「Hossのガンプラ制作研究所」で扱っているさまざまな技法の、原点に近い作品です。ここから気になった工程を、基本講座や塗装技法の記事でさらに深く掘り下げてみてください。
この制作から次に読む
今回使用した主な材料
- Mr.サーフェイサー
- キャラクターフレッシュ
- MSグレー ジオン系
- シルバー
- スミ入れ塗料
- エナメル塗料
- ウェザリングマスター
- つや消しトップコート
すべてを最初から用意する必要はありません。作りたい仕上げに合わせて、必要なものから少しずつ増やしていけば十分です。
制作を終えて
約15年ぶりに作ったF2ザク。現在見ると古さを感じる部分もありますが、改めて見ると、この頃すでに現在へつながる制作スタイルがありました。
完成させる。写真を撮る。作って分かったことを残す。そして次の一体で、また何か試してみる。この繰り返しが、今の「Hossのガンプラ制作研究所」につながっています。



























