ガンプラの立ち上げ塗装とは?
下地色を完全に消さず、面の中央へ基本色を重ねて陰影を作る塗装方法を、MGトールギスⅡ、高機動型シャア専用ザク、MGゴッグ、MG νガンダム Ver.Kaの実例から解説します。
私がガンプラの全塗装でよく使っているのが「立ち上げ塗装」です。黒やグレー、マホガニーなどのサーフェイサーを下地にして、その色を縁や奥まった部分に少し残しながら基本色を重ねていきます。
特定の下地色だけを指す言葉ではなく、下地の明暗を利用して面に陰影を作る塗装方法として扱います。黒下地だけでなく、グレーやマホガニーから立ち上げる場合も含めています。
立ち上げ塗装は何をしているのか
ベタ塗りではパーツ全体をほぼ同じ明るさに仕上げます。立ち上げ塗装では、下地を完全に隠さず、面の中央を明るく、縁や奥まった部分を暗く残します。これによって、同じ一色でも面の起伏や奥行きを感じやすくなります。
ポイントは「全部を同じ色になるまで吹かない」ことです。塗料を重ねすぎると、せっかくの下地が消えて普通のベタ塗りに近づきます。
私が普段使っているエアブラシ設定
普段はタミヤ HGエアーブラシIII スーパーファイン 0.2mmを使い、エア圧はおよそ0.1MPaで塗装しています。これは絶対的な正解ではなく、私の制作環境で使っている基準です。
立ち上げ塗装では、広い面を一気に塗りつぶすより、狙った場所へ少しずつ色を重ねる場面が多くなります。ノズル径、塗料の希釈、距離、エア圧を組み合わせて、自分がコントロールしやすい状態にします。
実際に使用しているエアブラシ立ち上げ塗装では狙った位置へ少しずつ色を重ねたいので、普段使っている0.2mmのHG エアーブラシIII スーパーファインが扱いやすいと感じています。
陰影を「効かせすぎない」立ち上げ塗装
MGトールギスⅡでは、以前制作したトールギスⅠと並べることを前提に、工程と陰影の強さをほぼ揃えています。下地はクレオスのサーフェイサー1000(グレー)。ホワイトはクールホワイトをベースに、部分的に灰色9号を使って面の情報量を加えました。
ブルーはやや軽めのライトブルーをメインにし、部分的にコバルトブルーで塗り分けています。Ⅱはブルーの面積が広いため、ホワイト側まで陰影を強くすると全体が騒がしくなります。そのため、白はあえて「効かせすぎない」方向で仕上げています。
どの程度残すかを機体全体の配色に合わせて調整することも重要です。トールギスⅡでは、Ⅰと並べたときの統一感を優先し、陰影を控えめにしています。
マホガニー下地から赤を立ち上げる
高機動型シャア専用ザクでは、サーフェイサーマホガニーを下地にして、胴体は「あずき」、手足は「MSレッド」を重ねました。暗い茶色を縁に残すことで、赤をそのままベタ塗りするより深い色合いになっています。


狙っていた以上に赤が深くなりました。暗い下地から立ち上げる場合、完成色は想像より暗くなることがあります。今なら、もう少し明るい赤を選ぶか、明るい側の塗り重ねを強めます。
この作例で使った下地赤系の立ち上げでは、冷たい黒ではなく暖色寄りの影を残したかったため、Mr.マホガニーサーフェイサー1000を使用しています。
立ち上げ塗装の吹き方を動画で確認
以前サンプルを塗装したときの記録です。面の中央付近から外側へ向けて塗装範囲を広げています。
ブラック・グレー下地を残しながら基本色を作る
MGゴッグでは、グレー部分にブラックサーフェイサーを使い、そこから濃いグレーを立ち上げました。他の外装はグレーサーフェイサーを使い、下地を少し残しながらそれぞれの基本色を重ねています。


立ち上げ塗装は次の表現の下地にもなる
ゴッグでは陰影を作って終わりではなく、その上に水中迷彩を追加しました。基本色の明暗を作ってから別の塗装表現を重ねることで、単色の迷彩とは違う情報量を持たせられます。
白と濃色では、陰影の残り方が違う
νガンダムでは、白い装甲はグレーサーフェイサー1200から灰色9号、ネービーブルーはブラックサーフェイサー1500から立ち上げています。同じ考え方で塗っても、完成時の見え方はかなり違いました。



ネービーブルーは塗装直後には明暗が見えていましたが、つや消しクリア後には差がかなり分かりにくくなりました。一方、白とグレーでは狙った陰影を比較的残せています。濃色では完成時に残したい差を、塗装時に少し強めに作る必要があると感じました。
下地色は何を選べばいい?
「立ち上げ塗装=黒下地」と決める必要はありません。最終的に作りたい色と、影として残したい色から下地を選びます。
うまくいかないときに確認すること
1. 下地が全部消えてしまう
基本色を重ねすぎています。最初から完成色にしようとせず、少しずつ発色を確認して止めます。
2. 中央だけが丸く明るく見える
同じ場所へ吹き続けると、面の形より「白い丸」が目立ちます。面の形状に沿って吹く範囲を広げます。
3. 濃色の陰影が完成後に消える
νガンダムで経験したように、つや消しクリアなど後工程で差が沈むことがあります。濃色では塗装直後に少し強く感じる程度まで明度差を作る方法もあります。
4. 陰影が強すぎて全体が騒がしい
トールギスⅡのように、配色によっては陰影を控えめにした方が全体がまとまります。立ち上げ塗装は、強ければ良いわけではありません。
初心者が試すなら
最初から大型キット全体で試すより、スプーンや余ったパーツ、シールドのような比較的広い面で練習すると分かりやすいです。下地を吹き、面の中央から少しずつ基本色を重ね、「どこまで吹くと下地が消えるか」を一度確認すると感覚をつかみやすくなります。
立ち上げ塗装は、塗り足す技法であると同時に「これ以上吹かない」と判断する技法でもあります。
この技法を使用した作品
制作記事は完成品紹介だけではなく、この技法を実際に使った作例として相互に参照できるようにします。
まとめ|下地を残して、色に立体感を作る
立ち上げ塗装では、サーフェイサーや下地色を完全に隠さず、面の中央へ基本色を重ねながら陰影を作ります。ブラック、グレー、マホガニーなど下地を変えることで、同じ技法でも完成色の雰囲気は変わります。
トールギスⅡでは陰影を控えめにして配色とのバランスを取り、高機動型ザクでは暗い下地で赤が深くなり、ゴッグでは陰影の上に水中迷彩を重ね、νガンダムでは白と濃色で陰影の残り方が違うことが分かりました。実際の制作結果を見ながら、自分が欲しい明暗差を決めていくのが一番確実です。

